IoTプラットフォームとは。導入前に把握すべき役割や選び方のポイント
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)は、製造や物流などのさまざまな分野において、経営課題の解決と新たなビジネスモデルの創出につながる技術として活用が期待されています。
一方、クラウド・オンプレミスの混在や多種多様なソフトウェアの利用などにより、現場のシステム環境が複雑化しており、「IoTの導入とビッグデータの活用が進まない」という企業も少なくありません。
企業のシステム環境や課題に応じてIoTのネットワーク基盤を構築するには、“IoTプラットフォーム”を活用することも一つの方法です。
この記事では、IoTプラットフォームの概要や主な役割、選定する際のポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.IoTプラットフォームとは
- 2.IoTプラットフォームが備える役割
- 2.1.➀データの収集と蓄積
- 2.2.②データの分析
- 2.3.③デバイスの接続と制御
- 2.4.④デバイスの監視
- 2.5.⑤ソフトウェアの自動アップデート
- 3.IoTプラットフォームを選ぶポイント
- 4.まとめ
IoTプラットフォームとは
IoTプラットフォームとは、インターネットに接続されたさまざまなデバイスからデータを収集・蓄積して、可視化や分析を行うシステム基盤のことです。
工場や物流拠点などに存在する多種多様な設備機器、クラウドシステムなどのデータを一箇所に集約することで、ビッグデータの利活用を促進できます。
IoTプラットフォームは、どのような環境で構築するかによって主に3つの利用形態に分けられます。
▼IoTプラットフォームの利用形態
利用形態 |
概要 |
標準的クラウドサービス |
クラウド環境でサーバの構築やアプリケーションの開発を行うIoTプラットフォーム |
業種別クラウドサービス |
製造業・物流業・建築業・農業・インフラ業などの特定の業種に特化した機能が備わったIoTプラットフォーム |
ハードウェア連動型クラウドサービス |
ネットワーク環境とSIMがセットとなっており、多種多様なデバイスを接続できるIoTプラットフォーム |
IoTプラットフォームが備える役割
IoTプラットフォームには、大量なデータを現場の環境に応じて利活用するためのさまざまな役割が備わっています。
➀データの収集と蓄積
多数のデバイスや設備機器からデータを収集して、IoTプラットフォーム内に蓄積することが可能です。同時に大量のデータを蓄積して活用できるように、可用性の維持とデータの整形を行える機能が備わっています。
▼データの収集と蓄積に関する機能
機能 |
概要 |
非同期処理 |
相互接続環境において同時に複数の処理を実行する |
分散処理 |
複数のサーバやデバイスを連携する際に、負荷を軽減して大量のデータを効率的に処理する |
データレイク |
大量の構造化データ・非構造化データ・半構造化データを一元的に保存して処理する |
②データの分析
あらゆるデバイスを同時接続して収集したデータをリアルタイムで分析できます。IoTプラットフォームを介して膨大なデータを可視化・分析することで、生産管理や販売管理、業務フローの改善などに役立てられます。
また、IoTプラットフォームのなかには、AI(人工知能)による解析が行えるものもあり、データ分析にかかる時間の削減と精度の向上を図れます。
③デバイスの接続と制御
IoTプラットフォームを活用すると、デバイスや設備機器などをネットワークにつないで制御することが可能です。
大規模な施設に点在するデバイスや設備機器を一元的に管理して、パソコン・タブレットを使って遠隔での制御を行えるようになると、移動・作業時間が削減されて業務の効率化につながります。
④デバイスの監視
デバイスや設備機器の稼働状況をリアルタイムで監視する役割もあります。
正常値と異なる動作や変化を検知した際にアラートを発したり、エラーの内容を表示したりすることにより、故障・不具合の防止、迅速な初動対応につながります。
また、人の手で行っていた点検作業を自動化できれば、設備保全の品質向上と業務の効率化を図ることが可能です。
⑤ソフトウェアの自動アップデート
IoTプラットフォームによっては、デバイスに内蔵されるソフトウェアを自動でアップデートするように設定できる機能があります。
IoTのネットワーク環境が大規模になる場合において、デバイスを一台ずつ管理する労力を削減できるほか、更新漏れを防ぐことによりセキュリティ対策の強化にもつながります。
IoTプラットフォームを選ぶポイント
IoTプラットフォームを選ぶ際は、IoTを活用してどのようなシステム環境を構築したいかを明確にすることがポイントです。
▼IoTプラットフォームを選ぶ際に確認しておくこと
選ぶポイント |
確認しておくこと |
データの種類 |
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データの蓄積方法 |
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データの分析方法 |
|
例えば、工場にある製造設備の予知保全を実現したい場合には、設備の稼働データを取得するためのIoTセンサーやカメラの導入、データを処理・分析するシステム、異常を検知するプログラムの設定などが必要となります。
また、IoTプラットフォームによって拡張性・接続性・セキュリティの強度などが異なるため、業種や運用目的に応じて選定することが重要です。
まとめ
この記事では、IoTプラットフォームについて以下の内容を解説しました。
- IoTプラットフォームの仕組み
- IoTプラットフォームが備える役割
- IoTプラットフォームを選ぶポイント
IoTプラットフォームを活用すると、オンプレミス・クラウド環境にあるさまざまなデバイスや設備機器をネットワークに接続して、膨大なデータを一元管理できる環境を構築できます。
IoTを用いてどのようなシステム環境を構築したいかを明確にしたうえで、収集したいデータの種類や蓄積したデータの管理方法、分析方法などの要件を決めることがポイントです。
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