基礎から理解するアジャイル開発。その進め方や手法とは
Society5.0やDXの推進などITに関する社会環境が変化するなか、多様なニーズに対して迅速に対応できる開発手法として、アジャイル開発が注目されています。
アジャイル開発の導入を検討している担当者のなかには、「アジャイル開発はどのように進めればよいのか」「アジャイル開発の手法を知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、アジャイル開発の概要や向いているプロジェクト、進め方、手法について解説します。
目次[非表示]
- 1.アジャイル開発とは
- 2.アジャイル開発に向いたプロジェクトの特徴
- 3.アジャイル開発の進め方
- 3.1.リリース計画の構築
- 3.2.イテレーションの実施
- 4.アジャイル開発の手法
- 4.1.スクラム
- 4.2.エクストリーム・プログラミング
- 4.3.ユーザー機能駆動開発
- 4.4.市民開発
- 5.まとめ
アジャイル開発とは
アジャイル開発とは、システム・ソフトウェア開発において現在主流になっている方法の1つです。設計・開発・実装・テストの小さいサイクルを繰り返しながら開発を行う点が特徴です。
アジャイル開発は、従来のウォーターフォール開発とは以下の点が異なります。
▼アジャイル開発とウォーターフォール開発の違い
比較項目 |
アジャイル開発 |
ウォーターフォール開発 |
開発の進め方 |
機能ごとに小さなサイクルを繰り返して開発を進める |
全体の要件を固めてから段階的に開発を進める |
向いている開発規模 |
小規模 |
大規模 |
開発期間 |
短い |
長い |
仕様変更への対応 |
柔軟に対応できる |
難しい |
スケジュールの管理 |
難しい |
行いやすい |
アジャイル開発を行うと、短期間でのリリースが可能となるほか、仕様変更にも柔軟に対応できるようになります。
ただし、高い品質と安定性が求められる大規模な開発においては、ウォーターフォール開発の方が向いている場合もあります。
アジャイル開発に向いたプロジェクトの特徴
アジャイル開発に向いたプロジェクトの特徴は、以下のとおりです。
▼アジャイル開発に向いたプロジェクトの特徴
- 要件定義が明確でない
- 仕様変更が多いことが予想される
- クライアントが密接に開発に関われる
要件定義が明確でなかったり、開発中の仕様変更が想定されたりするプロジェクトにおいては、ウォーターフォール開発よりもアジャイル開発が向いているといえます。
また、クライアント自身が密接に開発に関われる場合、アジャイル開発で進行することでフィードバックを反映しやすくなります。これによって、クライアントの目的に必要な機能性や操作性を持ったシステムの開発が期待できます。
アジャイル開発の進め方
アジャイル開発を進める際は、リリース計画を構築したうえでイテレーションを繰り返して進行します。
リリース計画の構築
システム・ソフトウェアについて、リリースを行う機能と日程の計画を立てます。
ただし、アジャイル開発においてはプロジェクトの進行中に設計・仕様が変更される可能性もあるため、あくまでおおよその計画を立てるようにします。
イテレーションの実施
リリース計画に沿って、イテレーションを実施します。イテレーションとは“反復”を意味する言葉で、アジャイル開発においては以下の1サイクルを指します。
▼イテレーションのサイクル
- 設計
- 開発
- テスト
- 改善
- リリース
アジャイル開発では機能ごとにイテレーションを行い、これを繰り返すことでシステム・ソフトウェアの開発を進めます。
アジャイル開発の手法
アジャイル開発の主な手法としては、スクラムやエクストリーム・プログラミング、ユーザー機能駆動開発が挙げられます。
また、ITの専門家によらない市民開発をアジャイル開発の手順で進める方法も考えられます。
スクラム
スクラムは、チーム内で綿密なコミュニケーションを行いながら開発を進行する手法です。
スクラムの特徴として、毎日決まった時間に15分程度のミーティングを実施して情報の共有を行うことが挙げられます。このミーティングをデイリースクラムと呼びます。
▼デイリースクラムで共有する情報
- 昨日実施したこと
- 本日実施すること
- 直面している問題・懸念点 など
エクストリーム・プログラミング
エクストリーム・プログラミングとは、プログラマーを中心とした開発手法です。仕様の変更や追加を前提として開発を進める点が特徴といえます。
エクストリーム・プログラミングにおいては、5つの価値観を基に開発を行います。
▼エクストリーム・プログラミングにおける5つの価値観
価値観 |
概要 |
コミュニケーション |
チーム内にとどまらず、ステークホルダー間のコミュニケーションを重視する |
シンプル |
設計を必要最低限にとどめる |
フィードバック |
テストを頻繁に行ってフィードバックを重視する |
勇気 |
仕様の変更・追加をおそれずに行う |
尊重 |
開発者や顧客が互いを尊重する |
ユーザー機能駆動開発
ユーザー機能駆動開発とは、顧客にとっての機能価値を中心に据えた開発手法です。顧客とコミュニケーションを行ったうえで顧客に必要な機能を洗い出して、優先的に開発を進めます。
ユーザー機能駆動開発を行う際は、顧客のビジネスモデルを詳しく理解しておくことが求められます。
市民開発
市民開発とは、ITの専門家でない従業員が業務効率化を目指した開発を行うことを指します。システム・ソフトウェアを導入する業務部門の担当者が市民開発を行うことで、自社のニーズを直接反映することが期待できます。
ただし、市民開発を行うには、ソースコードを利用しないノーコードツールや、少ないソースコードで開発が行えるローコードツールなどが必要です。
まとめ
この記事では、アジャイル開発について以下の内容を解説しました。
- アジャイル開発の概要
- アジャイル開発に向いたプロジェクトの特徴
- アジャイル開発の進め方
- アジャイル開発の手法
アジャイル開発は、設計・開発・実装・テストの小さいサイクルを繰り返すことでシステム・ソフトウェアを開発する手法です。
要件定義が明確ではなく、仕様変更が想定されるプロジェクトに向いています。また、アジャイル開発にクライアントが密接に関わることで、フィードバックを反映しやすくなります。
アジャイル開発の手法にはいくつかの種類がありますが、業務担当者がツールを活用することで直接開発に携わる方法も考えられます。
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