「データ活用で未来の現場づくりを支えるエンジニアリングカンパニー」の実現へ
萩原テクノソリューションズ株式会社(以下、HTS)は、2024 年7月16日付にて、IoT アナリティクスプラットフォームを提供する BELLADATI PTE.LTD.(以下、BellaDati 社)の全株式を取得し、子会社化したことを発表。両社の強みを活かすことで事業の拡大を目指していきます。この戦略的な動向と今後の展望について、データプラットフォーム事業部のメンバーに話を伺いました。
データプラットフォーム事業部
事業部長 溝口 孝之
アシスタントマネージャー 古賀 隼人
足立 崇幸
構築してきた製造業基盤をベースに
さらなるデータ活用により新たな価値を創造
――貴社の歩みと、現在直面している戦略課題についてお聞かせください。
溝口 当社は 60 年以上にわたり、自動車産業をはじめとする大手製造業に対して様々なソリューションを提供してきました。IT・組込・FA 分野において高度な専門知識と技術を有しており、特に東海エリアで製造現場への豊富なシステム導入実績を誇り、顧客の生産性向上、スマートファクトリーの実現に大きく寄与してきたと自負しています。
データプラットフォーム事業部 溝口 孝之 事業部長
一方で、当社が強みとしている市場環境は新たな局面を迎えており、製造業は DX やセキュリティ意識が高まり、変化が著しいです。その中でも当社が対応急務と捉えていることは“真のデータ活用”です。
IoT デバイスやセンサー技術の発達により、製造現場から膨大な量のデータを収集することが可能になりました。しかし、膨大なデータは活用が難しい。私たちが考える真のデータ活用とは、その膨大なデータを意味のあるデータに変換し、ビジネス価値を創出することにあります。データ活用には、高度な分析スキル、適切なツール、そして何よりも明確な戦略が必要です。データの海で溺れるのではなく、収集したデータを有効活用し、生産性の向上、品質管理の最適化、あるいは新たなビジネスモデルの創出につなげていくことが、当社がお客様に提供するべき新しい価値だと考えています。
――2024 年は、HTS にとって新たな成長ステージへ向けた変革が続いています。
溝口 萩原電気グループの中期経営計画『Make New Value 2026』で、2024~2026 年を新たな成長ステージへ向けた事業構造変革の時期と定め、事業基盤の確立を図っていることが重要と考えています。
当社では経営ビジョンを『データ活用で未来の現場づくりを支えるエンジニアリングカンパニー』と定め、このビジョンを実現するべく「IT ソリューション」「組込ソリューション」「FA エンジニアリング」に次ぐ 4 つ目の柱として、「データプラットフォーム事業部」が 2024 年 4 月に新設されました。
データプラットフォーム事業部は、IoT 向けのデータ基盤の設計・開発・構築・運用サービスの提供を主な事業領域とし、顧客の価値創出につながる事業を展開していきます。
――2024 年7月には、シンガポール、チェコ、日本にオフィスを持つBellaDati 社を子会社化するといったトピックスがありました。
古賀 BellaDati社は、新しいソリューションを構築するプロセスに関連するリスク・時間・コストを排除するために、すぐに使える機能の80%が搭載されたIoTアナリティクスプラットフォームを提供する企業です。
そのプラットフォームの特徴は、新しいソリューションの構築プロセスに関連する各種機能を即時使える状態で搭載していることです。「IoTコントローラー、高度な分析、データウェアハウス、Machine Learning Studio、ビデオ分析、IDE機能、SDK/API」など、あらゆる機能が盛り込まれたオールインワンパッケージ。それが、唯一無二とも言われるBellaDati社のアプリケーション『BellaDati』です。
古賀 隼人 アシスタントマネージャー
溝口 『BellaDati』という強力なIoTプラットフォームを核として、我々が培ってきた開発ノウハウや経験を組み合わせ、さらに各パートナー企業のリソースを融合させながら、新たなイノベーションを創出していきたいと考えています。
実績が裏付ける信頼性と先進データ活用の融合で業界内における競争優位性を進化させる
―― BellaDati 社がグループに参画したことにより、具体的にどのようなソリューションが提供可能になりますか。
足立 一つ目は、データから新たな価値の提供です。『BellaDati』の先進的な IoT プラットフォームと、HTS の製造業における深い知見を組み合わせることで、これまで見過ごされていたデータの価値を引き出し、顧客に新たなビジネスインサイトを提供できるようになります。例えば、予知保全や生産最適化、さらには新規ビジネスモデルの創出まで、幅広い領域でのイノベーションが可能になると考えます。
二つ目はスピードです。オールインワンパッケージのため複雑な設定は一切不要で、セットアップから開発、稼働までのフローが短縮可能です。私が『BellaDati』を用いて設備の状態管理・データを可視化するシステムのデモ機を作成したときには、通常であれば1~2か月の開発期間が必要でしたが、3日で完成させました。プロジェクト全体の工数も大幅に短縮できますから、導入した顧客からも高く評価いただきました。
プリセールス担当 足立 崇幸
――顧客からの反響はいかがでしょうか。
古賀 非常に良好で、これまで接点が少なかった業界、例えば設備関連の製造業や、建設業界からも多くの関心が寄せられています。やはりオールインワンパッケージであるため 1 つの製品で全機能をカバーでき、従来のように時間とコストをかけて複数製品を組み合わせる必要もありません。他社では難しいとされていた課題も、『BellaDati』ならスピーディーに解決できると評価されており、各分野での活用、ビジネス拡大への貢献が期待されていることを実感しています。
――萩原電気 HD としてのグループシナジーは。
古賀 萩原エレクトロニクス(株)は車載用デバイスを扱っています。昨今はこれらのデバイスがインターネットに繋がってデータが蓄積されていますから、まさに有効活用できるのではないかと協議を進めています。ハードウェアの提供から、データの利活用にまで踏み込んだ高度なソリューションの提供に発展しようとしています。
HTS が提案する「Factory as a Service(FaaS)」革命
――冒頭にもありましたが、萩原電気グループ中期経営計画『Make New Value 2026』推進にあたり、2024~2026 年がコアコンピタンスとなると予想されます。データプラットフォーム事業部への期待も高まっていますが、事業部としての戦略的なロードマップをお聞かせいただけますか。
溝口 当社全体としても2026年度に売上、利益ともに大きな成長を目指しており、この計画を推進する上で、新たな成長エンジンである我々データプラットフォーム事業部が重要な役割を担っていくと認識しています。
我々は今、新たなサービス事業としてBtoB向け『マーケットプレイス』を作ろうとしています。BtoC で例えるなら「App Store」、「GooglePlay ストア」、「Microsoft Store」です。このサービスにより顧客は必要なサービスやソリューションを柔軟に選択し、スピーディーに導入できるようにします。
中長期的には、これが単なるソリューションにとどまらず、Factory as a Service(FaaS)という我々の提案する新しいビジネスモデルとして製造業の未来を形作る新たなパラダイムとなることを目指します。
また、当社はDell Technologiesの販売店として長年にわたりソリューションを提供しています。これからのIoTプラットフォームの提供にも欠かせないパートナーとして協業し、お客様のご要件や規模に合わせた最適なソリューションをご提案いたします。
――製造業に大きな変革をもたらす可能性を秘めた、革新的なお話を聞かせていただきました。最後に、顧客やステークホルダーへのメッセージをお願いします。
古賀 これまでの当社は、Dell Technologies等のパートナー企業製品を主力に、業務コンサルティング、設計、開発、ハードウェア選定などをご提案するビジネスが中心でした。しかし、今後は溝口の話しているとおり、 BellaDati を中核としたマーケットプレイス、FaaSソリューションを強化し、自社オリジナルブランドとしてのサービス展開を目指していきます。我々は各種設備やデバイス、アナログのデータを価値あるデータに変化させ、顧客にサービス提供していきます。
溝口 BellaDati 社の当社グループへの参画を通じて新たな成長ステージに入りました。『データ活用で未来の現場づくりを支えるエンジニアリングカンパニー』というビジョンの下、製造業DX を強力に推進し、より包括的で高度なソリューションを提供することで、生産性向上や競争力強化に貢献、日本のものづくりの未来を支えていきたいと考えています。
こちらの動画で萩原テクノソリューションズ株式会社のデータプラットフォーム事業とBellaDatiを中核としたソリューションについて説明しています。
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萩原テクノソリューションズ株式会社 データプラットフォーム事業部
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