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検査装置の主な種類。半導体や基板に用いられる電気特性検査装置について

製造現場では、製品・基板・部品などに異常がないか確認するために、検査装置による品質検査を行います。

安全性・耐久性・機能性・材質・形状などを検査装置で確認することは、製品の規格に準拠した品質を保証する重要なプロセスといえます。

検査装置は用途や対象物によってさまざまな種類があるため、製造工程に応じて導入することが重要です。この記事では、検査装置の概要や代表的な種類について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.品質保証に欠かせない検査装置とは
  2. 2.検査装置の種類
    1. 2.1.➀電気特性検査装置
    2. 2.2.②温度検査装置(低高温)
    3. 2.3.③外観検査装置
    4. 2.4.④パワー半導体検査装置
    5. 2.5.⑤X線CT装置・受託検査
  3. 3.まとめ


品質保証に欠かせない検査装置とは

製造工程で用いられる検査装置とは、製品・基板・部品などに異常がないかを判断する装置です。どのような対象物を検査するかによって、用いられる技術や検出方法が異なります。

代表的な外観検査では、これまで人間の目視によってキズや凹みなどを検査するケースがありました。検査装置を用いることで自動かつ高精度の検査が可能となり、品質の安定化を図れます。

また、検査装置を利用して行われる品質検査は、大きく外観検査と機能検査の2つに分けられます。


▼品質検査の種別

種別
概要
外観検査
製品や部品に汚れ・キズ・異物の混入などがないかをテストする
機能検査
電子機器・部品や基板などが正常に動作するかをテストする


製品の設計段階や生産ラインの各工程で品質検査を実施して、製品の不備を発見した場合には上流工程へのフィードバックと修正を行います。



検査装置の種類

検査装置では、どのような対象物を検査するかによって異常を検出する仕組みが異なります。表面の状態を検査する装置のほか、電圧や電流などを測定して内部の状態を数値化できる装置があります。


➀電気特性検査装置

電気特性検査装置は、半導体や基板などのチップに電気信号を入力して検査を行う装置です。車載用のECUや各種センサ、小型モータ用のインバータ、充電ユニットなどの電子部品を検査する際に使用されます。


▼電気特性検査装置の主な検査項目

検査項目
概要
インピーダンス
交流回路に電流・電圧を加えて電流抵抗を測定する
絶縁性
ケーブルや回路基板に電流を加えて、電流が断ち切られているか、規定以上に通電していないかを測定する
誘電特性
電子部品や回路基板に電流・電圧を加えて、誘電分極の度合いを測定する
耐電圧
電子部品や回路基板に直流・交流電圧を加えて、十分な絶縁耐力があるかを測定する


②温度検査装置(低高温)

温度検査装置は、低高温の環境で使用する電子機器・部品について、動作や耐久性、信頼性などを検査する装置です。温度環境による動作保証が要求される製品について、低温・高温試験を行う際に使用されます。


▼温度検査装置の主な検査項目

検査項目
概要
温度変動に対する信頼性
さまざまな環境でスマートフォンや車載機器などの電子機器を使用できるかを評価する
絶縁耐久性
温度の変動によって電子機器・部品の絶縁体にどのような影響があるかを評価する
金属材料の応力
アルミニウム・銅・ステンレスなどの金属材料を加熱・冷却した際の性質や強度、電気抵抗を評価する


③外観検査装置

外観検査装置は、製品や部品の表面にある欠陥を検査する装置です。

製品や部品の正常な状態をデータで設定して、カメラで撮影した対象物を画像処理技術またはAIによって判定します。近赤外線カメラを使用すると、内部の欠陥検査や含有物質の検査などを行うことも可能です。


▼外観検査装置の主な検査項目

検査対象
検査項目
電子機器・部品
表面にあるキズ・汚れ・欠け など
シート・フィルム
厚み・コーティングや色のムラ・シワ・ピンホール・ゴミの付着 など
ラベル
貼付位置・スジ・破れ・ピンホール・印字のスレ、印字のミス など


④パワー半導体検査装置

パワー半導体検査装置は、IGBT・IPM・SiC などの各種半導体チップやモジュールの検査・評価を行う装置です。半導体を用いて製造する自動車や通信機器、空調機器などの電子機器を検査する際に使用されます。


▼パワー半導体検査装置の主な検査項目

検査項目
概要
動特性(AC特性)
半導体チップに一定の電流・電圧を入力して、出力信号からスイッチング特性や短絡、アバランシェなどを評価する
静特性(DC特性)
半導体チップに電流・電圧を変化させながら入力して、出力信号から漏れ電流や降伏電圧などを評価する
熱抵抗
過渡熱試験にてヒートシンクやダイ、チップ間の組立の接合状態などを評価する
耐圧性
チップやモジュールの絶縁耐圧を評価する


⑤X線CT装置・受託検査

X線CT装置は、製品や基板にX線を透過させることによって内部の欠陥・構造・異物混入の有無などを検査する装置です。

製品工程の初期から中間に行う非破壊検査の一種となり、外部の専門会社が行う受託検査サービスを活用するケースもあります。


▼X線CT装置の主な検査項目

検査対象
検査項目
製品
内部構造・形状・寸法・異物混入 など
食品・飲料
容量・液位・異物混入 など
電子機器
基板上のクラックやショート・はんだ内部のボイド など



まとめ

この記事では、検査装置について以下の内容を解説しました。


  • 検査装置の概要
  • 検査装置の種類


製造現場では、製造工程の各段階で製品・基板・部品などの検査を実施して、品質や安全性、信頼性について評価することが求められます。

検査対象によって使用する検査装置が異なるため、各工程で必要なものを導入して測定・評価を行うことが重要です。

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