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エッジAIは自社で開発できる? 活用に向けた開発の流れと注意点

エッジAIとは、エッジコンピューティングとAI(Artificial Intelligence:人工知能)を組み合わせたシステムです。自動車やカメラ、産業用ロボット、医療機器など、さまざまなハードウェアに組み込み、その場で処理することでリアルタイムでの判断・予測が可能です。

製造業の製品企画や設計・開発などの担当者のなかには、エッジAIの開発を検討しているが、「初めてのAI開発で何から始めたらよいか分からない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

本記事では、エッジAI開発の流れや注意点について解説します。

また、エッジAIのメリットや活用方法など、基本情報についてはこちらの記事でご確認いただけます。

  エッジAIとは? クラウドAIとの違いやメリットを解説 近年、さまざまな場面でAI(Artificial Intelligence:人工知能)技術が活用されています。そのようななか、近年注目されているのが“エッジAI”です。エッジAIという言葉を耳にしたことがあるものの、「具体的に何のことか分からない」「クラウドAIと何が違うのか分からない」と疑問を持つ担当者の方もいるのではないでしょうか。本記事では、エッジAIについて、クラウドAIとの違いやメリット、活用方法を解説します。 萩原テクノソリューションズ株式会社


目次[非表示]

  1. 1.エッジAI開発の流れ
    1. 1.1.①AIモデルの選定
    2. 1.2.②データ収集・加工
    3. 1.3.③AIモデルの作成・最適化
    4. 1.4.④実装・量産製造
  2. 2.エッジAI開発の注意点
  3. 3.まとめ


エッジAI開発の流れ

エッジAIを開発する際は、AIモデルの選定から作成、ハードウェアへの実装など、複数の工程で進めます。

ここでは、エッジAI開発の流れを一つずつ解説します。


①AIモデルの選定

はじめに、目的・活用シーンに適したAIモデルを選定します。AIモデルは大きく3つに分けられ、それぞれ以下のような特徴があります。


▼AIモデルの種類

種類
特徴
活用例
機械学習モデル
(教師あり学習)
対象データに正解ラベルを与えることで、正解パターンをAIモデルが学習していく方法
例:晴れた空の画像に『晴れ』と正解ラベルを付ける

正誤のように2項目の分類だけでなく、天気(晴れ・曇り・雨)のように複数項目の分類も可能
気象予測、自動車検査、画像診断、スパムフィルタ など
ディープラーニングモデル
(教師なし学習)
対象データに正解ラベルを与えずに、AIモデルが入力データの共通点を学習していく方法

商品の購入者データから関連性・統一性などを見つけて分類が可能
新商品のマーケティング戦略、ECサイトのレコメンド機能、実店舗の陳列  など
強化学習
対象データを与えずに、AIモデル自身が試行錯誤しながら学習していく方法

“よりよい結果”を得るために経験を積みながら最適な方法を導き出せる
自動運転、ロボット制御 など


例えば、「バス車内にカメラを設置して忘れ物を防ぎたい」という目的であれば、画像診断に適した機械学習モデルを選定します。


②データ収集・加工

AIモデルを選定したら、学習に必要なデータを収集します。

エッジAIがリアルタイムでデータを分析し、正確な判断を行うには、学習させるデータ量や質などが重要です。気象予測をするにも、晴れた画像ばかり学習させていては正確な予測ができません。

ただし、データ量は必ずしも膨大に必要というわけではありません。限られたデータ量でもAIモデルがどんどん学習していく方法もあるため、適切なデータ量を推測して収集します。


▼データ収集の方法例

  • 自社の顧客データ
  • アンケート調査
  • インタビュー
  • API(Application Programming Interface:アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携
  • IoTツール
  • Webスクレイピング
  • 外部事業者に依頼 など


データの収集後は、重複や破損などがないか確認し、学習に適したデータの加工が必要です。また、機械学習モデルを使用する場合は、データに正解タグを付与する“アノテーション”という作業を行います。


③AIモデルの作成・最適化

データの加工後は、プログラミング言語で自作したり、AIモデル作成ツールを活用したりして、AIモデルを作成します。

作成後は、テストを行い意図した動作ができているか確認します。実装した場合も想定し、動作の修正や精度の向上などが必要であれば、調整とテストを繰り返します。

なお、AIモデルの種類によっては、誤差の許容範囲や曲線の設定値などのパラメータを組み込むことで精度を高められます。ただし、AIモデルのサイズが大きくなるため、エッジAIのように実装するハードウェアの容量が限られている場合は注意が必要です。


④実装・量産製造

AIモデルの作成後は、実際に利用するハードウェアに実装します。

先述したとおり、エッジAIは末端のハードウェアで処理し、必要なデータのみをクラウドに送信するため、実装できる容量が限られています。実際に実装してみて、思うような動作ができていなければ、AIモデルの軽量化が必要です。また、AIモデルに適したハードウェアでないと、期待した性能が発揮されない場合も考えられます。

ハードウェアへの実装後、問題なければ製品化に進みます。しかし、ハードウェアのパーツが生産終了になり、製造の継続が難しくなることもあります。そのため、「長期的に供給できそうか」という観点で開発を進めることも大切です。



エッジAI開発の注意点

エッジAIを開発する際には、以下のような注意点も挙げられます。


  • AIモデルの軽量化が必要になる場合がある
  • 実装するハードウェアがAIモデルに適していない場合がある
  • 開発プロジェクトに必要な社内のリソースが足りない場合がある
  • ノウハウ不足で余計にコストがかかる場合がある


AIモデルを軽量化するには、枝刈り・蒸留・量子化などの手法があり、それらに対応できる技術が必要です。また、AIモデルとハードウェアがセットで考えられていないと性能が最大限発揮されないこともあります。

なお、これらの技術に対応できるプログラマーがいても、開発時はチーム全体で動くため、大勢のリソースを確保しなければなりません。リソースが不足していれば、その分開発までに時間がかかります。さらに、開発に関するノウハウ不足によって、やり直しが発生すると余計なコストがかかってしまいます。

このようにさまざまな注意点をクリアするには、経験豊富な開発ベンダーに依頼するのも一つの方法です。



まとめ

この記事では、エッジAIの開発について以下の内容を解説しました。


  • エッジAI開発の流れ
  • エッジAI開発の注意点


エッジAIの開発は、AIモデルの選定からデータ収集、作成・最適化、実装などさまざまな工程が必要です。また、専門的な技術だけでなく、あらゆるハードウェアとの相性も考慮しなければなりません。膨大なコストやリソースも必要になるため、失敗しないように慎重に進めていくことが大切です。

萩原テクノソリューションズ株式会社』では、AIの開発から導入、プラットフォームの提案など、AI製品開発で生じるプロセスをワンストップでサポートいたします。

エッジAIの開発に伴い、「何から取り組んだらよいか分からない」「製品にAIを実装したが、期待した性能が出ない」「選定したハードウェアの性能が足りない」など、さまざまな課題に対して対応可能です。お気軽にご相談ください。

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