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自律走行搬送ロボットで作業を自動化! AMRとそのほかの活用できる手段

工場や倉庫では、入出庫や生産ラインの工程間で製品・部品・材料などを搬送する作業が発生します。

台車やリフトを利用して手動で搬送している現場では、「労力・時間がかかる」「対応する人員が不足している」と悩まれている方もいるのではないでしょうか。

手動による搬送作業を効率化するには、“自律走行搬送ロボット(AMR)”を導入して自動化を図ることが有効です。また、自律走行搬送ロボット(AMR)のほかにも自動化する手段が存在します。

この記事では、自律走行搬送ロボット(AMR)の仕組みやメリット・デメリット、搬送作業を自動化するそのほかの手段について解説します。

なお、生産ラインを自動化する方法についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

  生産ラインを自動化する方法と取り組む際のポイント 工場が持続的な成長を図り競争優位性を確保するには、デジタル技術を活用して生産体制の変革を目指すDXに取り組むことが重要です。取り組みの一つに生産ラインの自動化があります。今回は、生産ラインの自動化によって期待できることや自動化する方法、取り組む際のポイントについて解説します。 萩原テクノソリューションズ株式会社


目次[非表示]

  1. 1.自律走行搬送ロボット(AMR)の仕組み
  2. 2.AMRとAGVの違い
  3. 3.AMRのメリット・デメリット
  4. 4.AMR以外で搬送を自動化する手段
    1. 4.1.①搬送コンベア
    2. 4.2.②リニア搬送システム
    3. 4.3.③協働搬送ロボット
    4. 4.4.④コンテナ搬送ロボット(CTU)
    5. 4.5.⑤ピッキングロボット(GTP)
    6. 4.6.⑥デパレタイズ・パレタイズロボット
    7. 4.7.⑦無人フォークリフト(AGF)
  5. 5.まとめ


自律走行搬送ロボット(AMR)の仕組み

自律走行搬送ロボットとは、工場や倉庫内の搬送作業を自動化するロボットです。“Autonomous Mobile Robot”を略して“AMR”と呼ばれることが一般的です。

AMRには、現在位置を想定して目的地まで自律的に走行する能力が備わっています。周囲の状況を認識するカメラやセンサーが搭載されており、環境地図を作成することによって走行ルートを自動で検索・決定することが可能です。

人が行ってきた搬送作業をAMRによって自動化することで、生産ラインの省人化や作業員の負担削減につながり、効率的な生産体制を構築できるようになります。



AMRとAGVの違い

AMRと比較されやすい搬送ロボットに“AGV(automatic guides vehicle:無人搬送車)”があります。どちらも自動で物品を搬送できますが、走行方法や走行範囲、障害物への対応などに違いがあります。


▼AMRとAGVの違い


AMR
AGV
走行方法
センシング技術で周囲の環境を把握して、自らで走行ルートを決定する
磁気テープや二次元バーコードなどのガイドラインに沿って走行する
移動範囲
ロボット走行ができる通路幅がある範囲
ガイドラインがある範囲
人との協働作業
できる
できない
障害物への対応
回避・再ルーティング
停止


AGVは、床面に設置したガイドラインに沿って固定のルートを走行するため、同じルートを往復する現場に適しています。

ただし、生産工程・レイアウトが変更になった際には、ガイドラインを設置し直す必要があります。障害物があると停止することから、人との協働作業を行う現場での活用は向いていません。

一方のAMRは、ガイドラインを設置しなくても自らで走行ルートを決定して自律走行ができるほか、人や障害物を回避することが可能です。



AMRのメリット・デメリット

AMRを導入すると、搬送作業を自動化して効率化を図れますが、ロボット本体の購入や環境整備などが必要になります。


▼AMRのメリット・デメリット

メリット
デメリット
  • 人との協働作業によって効率化を図れる
  • 環境変化に合わせて柔軟に運用できる
  • AMRが走行する通路幅が必要
  • 導入コストが高くなりやすい


AGVの場合では、人が立ち入らないエリアを分けて運用することが一般的です。

これに対してAMRは、人や障害物を避けながら走行できるため、人がいるエリアでの協働作業が可能になります。人が搬送する工数・時間を削減して、生産ラインを効率的に稼働させることが可能です。

また、生産工程・レイアウトが変更になった場合には、AMRが周辺の環境を把握して走行ルートを自動で算出することから、柔軟な運用ができるようになります。

ただし、AMRを導入する際は、スムーズに走行できる通路幅を確保する必要があるほか、ロボット本体やネットワークの構築、システムの導入などにコストがかかることに注意が必要です。



AMR以外で搬送を自動化する手段

工場の生産ラインにおける搬送作業を自動化するには、AMRのほかにさまざまな手段があります。


①搬送コンベア

搬送コンベアは、物品を一定の方向で連続して搬送する装置です。

工場では、大量の物品を断続的に搬送したり、生産ラインで次の工程へ受け渡したりする目的で導入されます。搬送コンベアにはさまざまな種類があり、搬送する物品の重量や形状、用途などに合わせて選ぶことが可能です。


▼搬送コンベアの種類

種類
概要
ベルトコンベア
輪状のベルトを回転させて物品を搬送する
チェーンコンベア
連結されたチェーンの上に物品を載せて搬送する
駆動ローラーコンベア
一列に並んだローラーをモーターによって回転させることで物品を搬送する
スクリューコンベア
スクリューを軸として回転させることにより、粉末・粒上や粒状、半流動体などの材料を運搬する
振動コンベア
振動によって粉末や粒状などの材料を運搬する


②リニア搬送システム

リニア搬送システムとは、回転式のモーターを直線方向に動くようにした“リニアモーター”の原理を活用した搬送システムです。電子部品や自動車部品、医療機器などのさまざまな生産ラインに導入されています。


▼リニア搬送システムでできること

  • 従来の搬送コンベアと比べて高速での搬送ができる
  • 高精度な位置停止ができる
  • 直線・カーブ・分岐・ターンテーブルなどさまざまなラインを構築できる など


③協働搬送ロボット

協働搬送ロボットは、人が作業するエリアでの協働を想定した搬送ロボットです。AMRやAGVの機能が備わっており、作業場のレイアウトを変えることなく指示に基づいた自動搬送を行えます。


▼協働搬送ロボットの活用例

  • 物品を載せたロボットが作業員を追従して搬送する
  • ピッキングを作業員が行い、ロボットに搬送を行わせる など


④コンテナ搬送ロボット(CTU)

コンテナ搬送ロボット(CTU:Container Transfer Unit)は、倉庫内の走行路を移動して、コンテナをピッキングエリアに自動搬送するロボットです。“カート搬送ロボット”や“ケースハンドリングロボット(ACR: Autonomous Case-handling Robot)”とも呼ばれます。

コンテナの搬送だけでなく格納・取り出しを行えることから、工場での入出庫作業を省人化できます。


▼コンテナ搬送ロボット(CTU)の活用例

  • 棚のような形状のロボットで複数のコンテナを一度に搬送する
  • 棚に格納されたコンテナから特定の部品のみを取得して搬送する など


⑤ピッキングロボット(GTP)

ピッキングロボット(GTP)は、物品が格納された棚ごと自動搬送するロボットです。作業員がピッキングをしてロボットに載せる必要がないため、人の移動距離を減らせるようになります。


▼ピッキングロボット(GTP)の活用例

  • 工場内の倉庫から生産エリアまで入庫した部品・材料を搬送する
  • 完成した製品を倉庫に格納して、出庫エリアまで搬送する など


⑥デパレタイズ・パレタイズロボット

デパレタイズ・パレタイズロボットは、複数の軸とアームが備わったロボットです。対象の物品をつかんで搬送するだけでなく、取り出す・積み上げるといった作業が可能になり、工場での運搬・積載作業を効率化できます。


▼デパレタイズ・パレタイズロボットの活用例

  • 組立てラインで部品をコンベアに載せる
  • 梱包した製品をつかんでパレットに積み上げる など


⑦無人フォークリフト(AGF)

無人フォークリフト(AGF)は、人による操作を行わずに自動で搬送を行えるフォークリフトです。

システムによる遠隔制御やレーザーによる位置の認識、センサーによる障害物の検知によって、荷積み・荷下ろし、工程間の搬送などを自動化できます。


▼無人フォークリフト(AGF)の活用例

  • 倉庫から部品や材料を取り、生産エリアまで搬送する
  • 生産ラインと接続して工程間でパレットを搬送する など



まとめ

この記事では、自律走行搬送ロボット(AMR)について、以下の内容を解説しました。


  • 自律走行搬送ロボット(AMR)の仕組み
  • AMRとAGVの違い
  • AMRのメリット・デメリット
  • AMR以外で搬送を自動化する手段


AMRを導入すると、人が行ってきた搬送作業を自動化できるようになり、生産ラインを効率的に進行することが可能です。床面のガイドラインが不要なほか、人や障害物を避けて自律走行ができることから、人との共同作業が必要な現場にも役立ちます。

また、搬送作業を自動化するロボットや装置にはさまざまな種類があります。用途や対象物の形状、重量などに応じて選定することが重要です。

萩原テクノソリューションズ』では、手組みラインからトランスファーラインまでの生産体制を構築するFAソリューションを提供しています。各工程に適した搬送ロボットの導入だけでなく、開発から製造までの一貫した提案が可能です。

詳しくは、こちらのページをご確認ください。

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